M&Aを行うにあたり、文書・契約書は非常に重要です。ここではM&Aのプロセスにおいて必要となる文書や契約書とその内容について紹介します。
M&A(株式譲渡)のプロセスと文書の種類
M&Aには相対取引と入札方式の二通りありますが、ここでは相対取引について書きます。戦略策定とターゲットの選定から始まり、統合活動までの間に4つの文書・契約書が必要になります。すなわち、秘密保持契約書、意向表明書、基本合意書、株式譲渡契約書です。
秘密保持契約について
秘密保持契約の目的は、機密情報をその目的以外に使用されるのを防止することにあります。相手方に最初に機密情報を提示する前までに締結することが求められます。
売り手側のポイント
買い手側がデューデリジェンス以外の目的で提供した情報を利用されないようにする必要があります。
買い手側のポイント
出来る限り守秘義務となる情報を絞る必要があります。
意向表明書について
買い手側が売り手側へ買収条件やストラクチャを伝えることで最終的な交渉まで滞りなく進められるようにする目的があります。
買い手側から売り手側への一方的な文書通達になるため法的な拘束力は持たないケースが多いです。内容としては、買収の背景と目的、買収ストラクチャ、買収金額の算定と条件、買い手側が想定する売り手側の事業戦略、などが記載されます。
基本合意書について
基本合意書の目的は、買い手側・売り手側の双方で買収の基礎となる価格やストラクチャについて一定の合意を得ることによって最終的な買収合意に至るまでの交渉をスムーズにすることにあります。
内容としては、取引条件の明示、独占交渉については双方の交渉次第、法的拘束力は持たないのが通常です。
株式譲渡契約書(SPA)について
株式譲渡契約書はM&Aのディールにおいて最も重要な契約書類になります。基本的な構成については、取引条件、クロージング手続き、譲渡実行の条件、表明保証、誓約事項、損害賠償、解除、一般条項、になります。
契約交渉においては取引条件、譲渡実行の条件、表明保証、誓約事項、損害賠償が主な論点になります。
まとめ
M&Aのプロセスにおいては各場面において買い手側と売り手側で書面で契約を交わします。基本的には情報をたくさん持っている売り手から買い手側が情報開示の要求を行ったり、買収条件においての要請を行ったりするケースが多いです。