ポストMBA転職M&A実務編Part4 ディールの実行

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どうもプロサラです。

 

ポストMBA転職において、(投資銀行、FAではなく)、事業会社でのM&Aを考えている人に向けてM&Aの実務にしているのが本シリーズです。

 

さて、企業買収シリーズ第四弾はディールについて紹介します。M&Aの基本戦略が決まったら次はディールに入ります。ディールは複数のプロセスに分かれています。ここではディールの中身について簡単に説明していきます。

 

ディールの中身

具体的なディールの業務として大きく5つあります。一つは契約書の締結(NDA, MOU/LOI, SPA, SHAなど)です。

 

NDA: Non-disclosure agreement 秘密保持契約の事を言い、機密保持契約、守秘義務契約とも言います。

MOU: Memorandum of Understanding 了解覚書と言い、組織間の合意事項を記した文書であり法的拘束力を有しません。

LOI: Letter of Intent MOUと同じ

SPA: Stock Purchase Agreement 株式譲渡契約書の事です。

SHA: Shareholders Agreement 株主間協定のことを言います。複数の株主において、特定の項目について取り決めることを言います。

 

2つ目はデューデリジェンスの実施です。詳しくは後述します。3つ目はバリュエーション、4つ目は買収ストラクチャーの検討で最後の5つ目は交渉になります。これらの業務は外部リソースを活用しながら進めることになります。

 

外部リソースとは具体的には弁護士事務所、会計事務所、コンサルティングファーム(戦略、人事、オペレーション、など)です。

 

デューデリジェンス(DD)の目的と実施

デューデリジェンスは買収に伴うリスクと正しい買収価格を算定するプロセスです。買収の対象会社が本当に買収したい会社であるのか評価することがデューデリジェンスの目的になります。

 

欲しい物(事業、資産他)を持っているのか?それらが買収後になくなることはないのか?経営、ガバナンスはきちんとできているのか?買収による自社とのシナジーが見込めるのか?隠し事はないか?これらの評価がデューデリジェンスのプロセスになります。

 

DDの目的は以上から、買収しようとしている会社をリサーチして正確に評価すること、リスクを洗い出してそのリスクに対処できるのかどうかを検討する事になります。リスクがあると買収してはいけない、という訳ではありません。リスクを正しく評価することでリスクに対応可能なのかどうかを判断できる事が重要です。

 

DDの種類

DDには種類があり、それぞれのDDにおいて調査内容および実施の主体者が異なってきます。主な種類とはすなわち、ビジネスDD、法務DD、財務DD、税務DD、人事DD,ITDD、環境DDなどです。それぞれの説明と実施主体は以下の通りです。

 

ビジネスDD: 事業分析、シナジー分析 →自社・コンサルティングファームが実施

法務DD: 企業ガバナンス、訴訟リスク等の抽出 →弁護士事務所が実施

財務DD: 収益構造の分析、キャッシュフローの分析 →会計士が実施

税務DD: 過去における税申告の確認、税務リスクの確認 →税理士が実施

人事DD: 組織構成、人員規定などの確認 →自社・コンサルティングファームが実施

ITDD: ITインフラの確認 →自社・コンサルティングファームが実施

 

DD評価後の対応について

上記DDを行って得られた結果にどう対応するかが次のステップになります。得られた知見により、買収価格の算定やリスクの回避が十分に出来ないという事であれば、ディールの取りやめも検討する、というスタンスで望む必要もあります。

 

買収価格の算定と調整

買収価格は買い手と売り手によって考え方が異なります。双方にメリットがのある形で価格が調整されます。

 

買い手側:買い手の考える価格はスタンドアロン価格です。実際にはこれにシナジー効果を足し合わせた金額が買い手の考えるシナジー込みの価格になります。したがって買い手が側はシナジー込みの価格以上の価格では買いません。また、スタンドアロン価格に近ければ近いほど買いたくなります。

売り手側:売り手は高い価格で売りたいのは当然なので、自社の評価を出来るだけ高くして売ろうとします。

 

買い手と売り手で調整した価格が取引価格になります。買い手側はシナジー効果の合理的な見積もりが重要になります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

今回はディールの中身について説明しました。契約書の締結から始まり、各種DDの実施、洗い出されたリスクの評価と買収価格の調整を行います。M&Aは買い手と売り手の交渉なので、ディールを成立させるために交渉するのではなく、しっかりと評価・見極めを行うことが肝要です。

 

過去シリーズ

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ポストMBA転職・M&A実務編part2 M&Aのプロセスについて
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